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ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」 ・・・再び

 今回は、ヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を再び取り上げてみました。前回は2010年10月20日付けで掲載しました。ご承知のように、現在「真珠の耳飾りの少女」は、6月30日〜9月17日・東京都美術館、9月29日〜来年1月6日・神戸市立博物館の日程にて開催中の“マウリッツハイス美術館展”に、目玉作品として展示されています。



ヨハネス・フェルメール作 「真珠の耳飾りの少女」1665頃/ハーグ・マウリッツハイス美術館


今回の展示会では、とくにこの「真珠の耳飾りの少女」に人気が集まり、混雑が予想されたせいか、作品の前は、二重の鑑賞ルートをつくり観客の整理を行っていました。間近で観たい人は一列に並び立ち止らずにゆっくり移動しながら観るルート、もうひとつはその後方でじっくり鑑賞するルートです。間近で移動してから、じっくり立ち止って観ることは可能でしたが、大勢の人が流れてくるので、長時間にわたって鑑賞することは難しい状況でした。

それはさておき、短時間での鑑賞はなおさら絵の印象を強くするようです。350年も前に生きていた少女というより、つい最近どこかで見かけた少女といった、現代的な印象をこの少女像から受けます。おそらくそれは、少女の一瞬の眼差しからくるのではないかと思います。前回にも指摘しましたが、生き生きとした一瞬の表情は、現代の少女たちにも共通する表情だからなのでしょう。

“マウリッツハイス美術館展”の開催に合わせた、BSフジ局による意欲的な番組≪フェルメール 美のアナリーゼ〜孤高の天才画家の真実〜≫を後日視聴しました。5部構成で、ファッションや色彩学などの専門家が謎の多いフェルメール絵画を分析し、その真の実態をあぶりだすといった内容です。その最終章の、オランダのドキュメンタリー映画の監督、ピーター・リム・デ・クローン氏の分析を興味深く拝見しました。

氏によれば、17世紀当時のオランダでは画家も科学者も、光の研究、視覚上の問題の追及に大いに関心があったようです。画家の中でもフェルメールは、とくに光の及ぼす効果について熱心に取り組み、新しい表現を試みていたのです。同時代のレンブラントは、光のスポット効果を用いて、劇場風の絵画を作り上げたとすれば、フェルメールは映画的な絵画を生み出していると、氏は説いています。レンブラントの人物は芝居がかかっているが、フェルメールの人物は全く自然の表情をもっているともいいます。

庶民の日常生活の自然な場面を映像化し、永遠の一瞬として絵画にとどめているというのです。有名な「牛乳を注ぐ女」や「真珠の首飾りの少女」「手紙を読む青衣の女」などは、確かにその通りだといえます。「真珠の耳飾りの少女」においても、視線をこちら側に向けた一瞬の表情を絵画として仕立て上げたものと理解できます。さらにその少女の表情から、少女の二つの顔が見分けられると氏は続けます。ひとつは、あどけなさが残る少女の表情、もうひとつは、もっと年上の成熟した女性のそれだそうです。

目や口元の一瞬の反応には、意図しない心の動きが出て、少女の中の女性が垣間見られたというのでしょうか。深読みすれば、たしかにそのように見えなくはないというしかありませんが、少なくとも自然な少女の心の動きが捉えられていることは確かです。この自然な表情は、また現代の少女たちにも共通する表情ではないでしょうか。フェルメールのこの作品の人気の秘密はこのあたりにあるように思いますが、いかがでしょう。




ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)は、1632年にオランダのデルフトに生まれています。父親は、絹織物職人で、居酒屋兼宿屋、画商も営んでいたようです。1642年に父親が宿屋の「メーヘレン」を購入し、そこに移り住みます。1653年に20歳で結婚、同時にプロテスタントからカソリックに改宗。画家のギルドである聖ルカ組合に加入し、画家として活動しています。翌年には、長女が生まれ、生涯に14人の子どもに恵まれたようです。1662年と1670年に、聖ルカ組合の理事に選出され、画家として評価されていたことをうかがわせます。風俗画家として活躍しますが、寓意画、歴史画、神話画、風景画など幅広く手がけました。1675年に、生活困窮のなかデルフトにて死去します。享年43歳でした。







カテゴリ:バロック | 19:55 | comments(1) | -
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コメント
こんばんわ。
はじめまして。

僕は最近、絵画に興味を持ったのですが、ムッシューPさんのブログには、よくお世話になってます。
知らない作品に出会う機会を頂いたり、どこに注目すれば、より面白く見れるかとか分かって楽しいです。

これからもブログ楽しみにしています。
でわ。
| タマキ | 2012/08/28 9:56 PM |
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