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ラファエロ・サンティの「大公の聖母」
 今回はラファエロの「大公の聖母」です。今年の3月2日から6月2日の3か月間にわたり、東京・上野の国立西洋美術館で開催された“ラファエロ展”で、目玉作品として展示されました。



ラファエロ・サンティ作 「大公の聖母」1505-06/フィレンツェ・パラティーナ美術館


イタリア・ルネサンス美術の3大巨匠のひとり、ラファエロの代表作といわれています。ラファエロといえば聖母子を描いた数多くの傑作を思い浮かべますが、なかでもこの「大公の聖母」はいちばんの人気の名作でしょう。1504年から1508年にかけてフィレンツェで活躍したラファエロは、とくにレオナルド・ダ・ヴィンチの影響の強い聖母子像をいくつも制作しています。「ひわの聖母」(ウフィッツィ美術館)「美しき女庭師」(ルーヴル美術館)「べルヴェデーレの聖母」(ウィーン美術史美術館)など有名な作品があります。

「大公の聖母」は、漆黒の背景に優雅に浮かび上がる聖母子が強力なインパクトをもって、絶大の人気を誇る作品です。20点以上の各地のラファエロ作品をそろえた、今回の“ラファエロ展”でも最も注目された作品です。黒い背景がこの作品の特徴なのですが、それが原作者のラファエロの筆ではなかったという決定的な事実が発表されていました。

2、3年前に発表された公的機関による科学的調査によれば、背景の黒い絵の具は明らかに聖母を描いているオリジナルの絵の具とは異なっていたそうです。レントゲン写真では、背景に建物の一部や風景がみられたとのことです。今回の展示会で、この「大公の聖母」の習作と思われるスケッチが展示されていましたが、背景に建物らしきものが描かれています。

それでは何時、誰がどのような理由で、背景を黒く塗りつぶしたのかは、今後の研究の成果が待たれるということのようですが、この作品の名前のもとになったといわれるトスカーナ大公フェルディナンド3世がこの作品を購入した1799年では背景が描かれていて、1803年に制作されたこの作品の複製ではすでに背景が黒かったようです。

後世の人間が背景を黒く塗りつぶし、聖母子に強いスポットライトを浴びせ、オリジナルとは別物の聖母子像を我々に残す結果になっていますが、ラファエロ芸術の魅力は、そのような加筆にもかかわらず、多くの人びとを魅了してきました。いやいや背景が黒く塗りつぶされたおかげで数多くのファンを獲得したのかも知れません。それほどラファエロの特徴的な聖母が際立った作品になったのでしょう。

しかしながら、同時代のラファエロの他の聖母子像にあるような精妙でぬくもりのある背景が、この作品にも加わることにより、さらに奥深い慈愛に満ちた聖母子像になっていた可能性も見過ごすわけにはいきません。黒い面に隠された、ラファエロらしい背景を想像しながら作品を鑑賞するのも、一興かなと思います。





ラファエロ・サンティ (Raffaello Santi  あるいはサンツィオ Sanzioは、1483年に、イタリア・ウルビーノの宮廷画家の息子として生まれ、1520年にローマで37歳で亡くなっています。8歳で母、続いて父を11歳で亡くしていますが、幼くして父から画家の手ほどきを受け、イタリア・ルネサンス絵画の巨匠ぺルジーノの工房に入り、早熟の才能を育みました。20歳になる頃には、師を超越したとされました。21歳にはフィレンツェに移り、レオナルド・ダ・ヴィンチやフラ・バルトロメオの作風を吸収し、1508年に25歳でローマに出て自らの工房を開き、当時の教皇ユリウス2世に雇われます。1509年からヴァチカン宮殿の壁画を手掛け、自らの様式を完成させます。1512年頃には「サン・シストの聖母」やキージ家の別荘の「ガラテイアの勝利」を制作し、1514年からはサン・ピエトロ大聖堂の主任建築家、1517年にはローマ古物監督責任者になっています。1520年37歳の誕生日の4月6日に、高熱治療の不手際から急死しています。墓は古代ローマ時代の建築物パンテオン内に祭られています。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並び、イタリア・ルネサンスの3大巨匠と称され、盛期ルネサンスの様式を確立した芸術家として、後世の美術、建築に与えた影響は大きいとされています。








カテゴリ:ルネサンス | 10:13 | comments(1) | -
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コメント
ラファエロの「大公の聖母」に隠されていたミサ通常文、サンクトゥス(Sanctus)の楽譜を下のサイトの11月20日に投稿しています。

Armenia-Japan Project 2013
https://www.facebook.com/groups/586025614762441/
| 生江隆彦 | 2013/11/25 5:11 PM |
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